現地メディア向けODA開発協力プレスツアー実施

令和元年12月10日
2019年12月10日,在カラチ日本国総領事館は,現地メディア向けにODA(政府開発援助)プレスツアーを実施しました。シンド州のハイデラバード市に拠点を置く新聞社やテレビ局の関係者等は,総領事館の招待により,ハイデラバード市及び周辺地域の日本政府が支援した開発協力事業地を視察しました。
 
このプレスツアーの目的は,現地プレスに日本政府の開発協力事業及びその事業の認識を高めてもらい,それによりパキスタンの教育,農業,人間の安全保障等のさまざまな分野における日本の開発協力の貢献についてパキスタンの人々に知っていただく機会を増やすことです。
 
今般,プレス一行は,ハイデラバード市において,国際協力機構(JICA)が平成25年度より支援を開始した「シンド州持続的畜産開発プロジェクト」(技術協力プロジェクト)の支援施設及び裨益農家の視察,また,タンド・アラヤ県のラシダバード市では,日本政府が平成29年度に草の根・人間の安全保障無償資金協力(官民連携事業)を通じて支援した「ラシダバード市聴覚障がい者特別支援学校改善計画」の特別支援学校を訪問しました。
 
最初に訪問したラシダバード市にある家族教育奉仕基金(Family Educational Services Foundation:FESF)の運営する聴覚障がい者の特別支援学校では,日本政府の草の根無償資金協力事業を通じて,聴覚障がいを抱えた児童及びその家族を特別支援学校に送迎するための車両2台(車両は官民連携の枠組みにより,トヨタ自動車株式会社及び現地パキスタンの合弁企業であるインダスモーター社と企業連携),及び同校の職業訓練コースに新たにパン製菓コースを開設するための機材を供与した内容(供与総額77,476米ドル(約800万ルピー相当))を視察しました。プレス一行は,学校の活動状況を見学し生徒や団体職員等と交流した後に,供与されたオーブン設備を使用し生徒が調理したパンを試食しました。同事業は,事業実施後約1年が経過していますが,同校に通学する生徒200名以上の教育機会のアクセスを確保し,パン製菓コースでは毎日20名の生徒が受講することが可能になりました。今後も同事業を通じた雇用機会の促進等,より一掃の成果が期待されます。
 
また,ハイデラバード市にあるシンド州持続的畜産開発プロジェクトの視察地では,JICAのカウンターパートであるシンド州畜産水産局職員等より,事業の実施背景,目的及び成果について説明がありました。同局が設立した子水牛救済センターは,屠殺場から救済した生産性の高い子牛を育成し小規模農家に配布したり,子牛の死亡率を低下させる適切な技術の開発等を実施しています。日本人専門家と同局の職員等が協力し,同センターにおける子牛の死亡率を40%から8%まで減少させ,パイロット事業をおこなった地域の農家に200頭の子牛を配布しました。子牛救助システムは,生産性の高い母親から生まれた子牛を小規模農家に配布することで,家畜の乳量が増加し,家畜資源をより有効活用する環境を作り上げることに貢献しました。
 
また,プレス一行は,ハイデラバード市外にあるサレダル村(パイロット事業地)の同事業の裨益農家であるコルヒ夫妻を訪問しました。コルヒ氏は,同事業を通じて2014年に4頭の家畜の提供を受け,現在では11頭の家畜を所有するまでに成長することが出来ました。また,コルヒ氏は,家畜育成の専門的な技術知識が,家計の収入や飼料品質を向上させ,長年に亘って家畜資源の価値を高める慣行につながる手助けになったと語ってくれました。
 
プレスツアー終了後,プレス参加者等は,取材した内容を各紙掲載及びテレビ番組で報道しました。
 
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