現地メディア向け開発協力プレスツアー実施

令和6年2月15日
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現地メディア向け開発協力プレスツアー実施
2024年2月15日
 
2024年2月14日、在カラチ日本国総領事館は、現地メディア向けに政府開発援助(ODA)プレスツアーを実施しました。同ツアーは、現地メディアに対し日本政府が実施した開発協力事業を紹介することで、教育、医療、人間の安全保障など様々な分野における日本の開発協力の貢献についてパキスタンの人々に広く認識してもらうことを目的としており、今回はシンド州カラチ市に拠点を置く新聞社やテレビ局の関係者を招待し、市内にある3つの開発協力事業地(今年度は全て草の根・人間の安全保障無償資金協力案件地)を視察しました。
 
 1つめは、カラチ市クリフトン地区に位置するカラチ社会福祉協会(Behbud Association Karachi)が運営する結核診療所を訪問しました。結核は予防や治療が可能であるものの、パキスタンでは世界で5番目に結核患者が多く、経済格差により治療を受けることのできない貧困層の病気として拡大しています。2004年に結核診療所の建物、2023年に新型のX線装置をカラチ社会福祉協会に供与し、これらは貧困層も診療が受けられる環境整備及び質の高い結核対策に必要不可欠なものとなっており、クリフトン地区の貧困層約6,000人が裨益しています。記者らはプロジェクトの説明を受け、パキスタンにおける結核の現状を改めて認識した様子でした。
 
2つめの事業地は、DHA Phase 4地区に位置するカラチ職業訓練センター(Karachi Vocational Training Centre)です。同センターでは、知的障がい者を対象に職業訓練と雇用促進を行っています。カラチでは大量輸送公共交通機関が未発達で交通事故が頻発するため、知的障がいを有する学生たちにとって「通学の困難さ」を伴っています。彼らの教育へのアクセス保障と自立支援は、インクルーシブな社会実現のため重要な取組です。2019年に大型の通学用車両を供与したことで、毎日30名の学生が同センターで職業訓練を受けることが可能となりました。
 
最後に訪れたのは、ケアマリ地区に位置するカルワン精神病院(Karwan-e-Hayat, Institute for Mental Health Care)でした。近年、パキスタンにおいてもメンタルヘルスの問題が注目を集めていますが、この分野を専門とする病院はほとんどないのが現状です。同病院ではカラチ市内で移動診療サービスを車1台で行っていましたが、1台だけでは急増するニーズに答えることができませんでした。2021年に7台の移動診療サービス及び患者輸送用車両を供与したことで、同病院ではカラチ市内 42 か所で移動診療サービスを展開することが可能となり、毎月7,500人を超える人が診療を受けています。記者らはメンタルヘルスの問題に大きな関心を寄せており、プロジェクトの説明を真剣なまなざしで聞いていました。
 
参加した記者たちは、それぞれ各プロジェクトやパキスタン社会における一般的な問題について関係者と意見を交わし理解を深めました。プレスツアー終了後、取材した内容を元に新聞紙やテレビニュース等の媒体で日本の開発協力について報道がありました。
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